タワシとハリネズミ
タワシってなにかに似ていませんか。
そう、ハリネズミです。
ハリネズミのあのちくちくとした体躯。
ちんまりとした小動物なのに、恐ろしそうな棘。
可愛らしい顔に似合わず自己防衛は万全。
触ると攻撃してくるタイプなのはたしか。
ハリネズミも痛いし、タワシも痛い。
どちらもわたしを拒否してきそうな勢いです。
そんな両者に接近するものはいるのか。
ハリネズミのジレンマというものがあるでしょう。あ、ハリネズミじゃなくてヤマアラシのジレンマか。(ハリネズミのジレンマというのは「新世紀エヴァンゲリオン」で出てきます)
どちらにしてもちくちくとした棘をもっています。
近づけば近づくほど棘が刺さる。痛い。
近寄りすぎず、離れすぎずな関係。深入りはできない。
それと同様、タワシ対タワシも深入りはできない。硬いヤシの繊維が痛すぎる。(世間一般のタワシはヤシの繊維でできているそうです)。
そのタワシ同士は仲良くできないのでしょうか。
ぐっと近づけてみても一定の距離を保ったまま。
それならばヤシの繊維を滑らかにしてみよう。
使い古したタワシは一本、二本、三本と繊維が抜けていく。
そして癖がつき、ぺたっとヘタってくる。そう、まるで前髪がぱかっと割れた寝ぐせみたいになる。
そのタワシと新品のタワシを並べてみる。
距離が縮まった。ほんの数ミリ程度。
おお。関係が深まったかな。
という感動とともに、すこし寂しい気もしてくる。
なにしろ片方くたびれていて、もう疲れ切っている。ヨボヨボ。とげとげしさがなくなり、もうタワシとしての機能はほぼ皆無に等しい。
そして片方は棘の機能が半端じゃない。
その様子を見ていたら、なんだかまるで世代交代の瞬間をみているよう。
見ているのも物悲しいので使い古したタワシはゴミ箱へ。
新しいタワシひとつで充分です。大切につかいます。
りんごうさぎ
中学生のとき、調理実習がありました。
りんごでうさぎさんを作ろう!というもの。たしか他にも味噌汁やなにかも作った気がしますが、りんごうさぎしか覚えてません。
そういうわけで……。
りんごうさぎ。
りんご×うさぎというのは無理やりくっつけた感が強いが(失礼)、一応やってみた。
よくお弁当とかに入っている、皆さんもよく知っている皮の部分をうさぎの耳にするやつですね。あれです。
恥ずかしながら、そのとき初めてやってみたんです。
見た目は知ってる、よく知ってる。うん、できる。できるはずだ。だいじょうぶ。
と、包丁をにぎり隠れてやってみた。(恥ずかしかったから)
で、できた…!
家庭科の先生に見てもらい、採点をいただく。
「うーん、2ね」
え……。
たしかそのとき3段階中、3が良、2ががんばりましょう、1がやり直し。だったとおもいます。
に、2…ですか…。
ほかの同級生のを見てみると、おどろいた。
あ…耳の部分立たせるのか———と。
つまり、耳の部分(皮)と身の間に切れ込みを入れる。それを忘れていたのだ。
わたしのりんごうさぎは耳がくっついたまま。皮のいらないところだけ剥いだだけだった。
ある意味、特殊なうさぎ。
耳と胴体がつながったままなんて。
どうりでほかの同級生よりも時間がかかったわけだ。
案の定、誰にも見られないように隠れて胃の中におさめました。
ごちそうさまでした。
今はちゃんと、作れます。だいじょうぶです。
若かりし頃の苦い思い出です。
石鹸でやりたいこと
みなさんは身体を洗うとき、どちらをつかいますか?
ボディソープ? それとも石鹸?
わたしは石鹸をつかいます。
ボディソープもつかったことはあるんですが、なんだか洗ったあともぬるぬるして、わたしには合わない…。
その点、石鹸はわりとさっぱりする気がします。
なんだろう、きゅきゅっと(いや、あのCMで放送してる洗剤ではありませんよ…)した、なんともいえない爽快感があります。
そう感じませんか。
(わたしだけかな…)
洗面台の下から「よっこいせ」と手を伸ばし、新しい石鹸を取り出す。
「あらかわいい」
虎と目が合った。
石鹸の包装紙に虎が描いてあったんです。かわいらしい虎が。
今年の初めに買ったんだなあ、とあっという間に過ぎた年明けがなつかしい。早いもんだ。もう2月か……。
———と、いけないいけない。
時の流れをしみじみとしている場合ではない。
石鹸を追加しなければ。
網の中に入っている小さくなった石鹸に、新しい石鹸を加える。
合体。
(へ、変な意味に捉えないでくださいね)
白い石鹸が網の中に隠れ、水を加え、あわあわする。
おおお。
なんだか科学実験のようで、子供に戻ったようで、やっぱりたのしい。石鹸を開発したひとはすごいなあ。
そうだ、それにやってみたいことがひとつ。
たまに泡風呂とかしてみたいなあ、とおもうのです。
よくドラマや画像などでみる泡風呂。どうやってやるんだろう。ふわふわっと湯舟に浮かんでいる泡たち。もこもこで右を向いても左を向いても泡しか見えない世界、というものを見てみたい。
想像したら惚けちゃう。
…これから調べてみます。無知はこれだから…まったく。
パジャマ
冬用のあったかいパジャマを愛用しています。
ふわふわ素材で寒い夜もこれでしのげます。
安いところで買って(たしか千円程度だった)、肌触りがいいのは着ていてきもちがいい。
これなら寝転がってもきもちいい。あっちへ転がっても、こっちへ転がっても、一回転してもきもちいい。
一日中着ていたい…けど、そういうわけにはいかない。
仕事があるのだ。
うう…朝は寒い。けれども起き上がるときにふわっと肌をなでてくれるだけで、ほんのちょっぴりうれしい。
全身なにかに包まれてる…!
という。
どうせなら頭も顔も首も足も手の先も包まれてたい!
ただ、
(―――全身ピンク)
そう、そのパジャマはピンクなのです。上下とも。
ピンクマンになってしまう。
誰に見られるわけではないが、そんなわたしでいいのだろうか……。いい歳して。
名探偵コナンの犯人役である全身黒タイツ、ならぬ全身ふわふわピンクは許されるのだろうか。
全身黒タイツはあれはあれで似合ってる(?)。許される。
だがアラサーの女がピンクマン。
———いや、いいはずだ。
監視カメラがあるわけでもない。なにかのドッキリもない…はずだ。
だから…せめて家の中だけは、わたしの世界にしよう!
まずは頭もふわふわのなにかをかぶろうか…。上下ピンクなら、どうせなら頭もピンクのなにかがいい…(?)。
―――ピンクで満たす…世間ではわたしは「痛い」部類に入るのであろう…。許しておくれ。
先生
先生というのはいろいろある。
美術の先生、体育の先生、数学の先生、はたまた茶道の先生、ピアノの先生……。
いいかえればなんの先生でもなりえる。
わたしは———なんだろう。
なにかに特筆すべきものや特技もなし、趣味も…ゲーム、読書、動画、あとは…なんだろう。
そんな程度。
なにかの先生にはわたしはなれないのか…。
ううーん。
なってみたい。なにかの先生になってみたい。先生って呼ばれてみたい。
だが考えても考えてもなにも出てこない。
寝転んでみても小説を読んでもヒントのヒの字も出てこない。先生というにはまだ、わたしには早いのか。
そうだ、そうなれば———。あるひとつの考えが浮かぶ。
弟子を雇えばいいではないか。
弟子。それは先生がいればいいというもの(?)。
むりやりに考え出した結果がこれだ。
よし、今日から弟子を雇おう。
弟子になりたいひと!
そう声高に言っては見たものの、だれも聞いていない。
私には人望がなかったのか……。
仕方なしに、遠慮がちに見ていたワンコに話しかける。
「わたしの弟子になってくれるかい?」
———なにを言ってるんだこいつ。
不思議な顔してにらめっこする。
ああ、わたしは犬にも…犬望(?)にも恵まれていない。
いじいじいじけていたが、土下座してなんとかワンコには弟子になってもらった。
じゃあ授業をはじめよう!
「まずは習いたいことを言ってみてください」
「……」
「じゃあ、いまなにを考えているか教えてください」
「……」
「あの———」
「……」
……そろそろお開きにしてみましょう。
これじゃあいつまで経っても埒が明かない気がするようで。
ああ、そうそう。
バレンタインに生チョコを作りました。かなり生クリーム多めでしたが、意外とおいしかった。また作りたいかも。簡単だったし。
さすがに弟子(ワンコ)にはあげられなかったけど。ごめんね。