ウサギと亀とわたし
童話にある「ウサギと亀」ってありますよね。
ウサギと亀がゴールを目指して、どちらが先にゴールするか勝負するやつ。
結局は亀が勝つのですけれど、それにむりやりわたしも参加してみます。
ウサギVS亀VSわたし。
さて、誰が一番でしょう。
「位置について…よーい、ホ~!」
審判であるフクロウ(勝手に登場)が叫びます。
その合図でウサギと亀が走り出します(いや、亀は走れないか…)。
わたしは即座にドラえもんを召喚させ(これも勝手に登場させます)、わたしをスモールライトで小さくしてもらいます。
それでウサギに飛び乗ります。
ウサギは軽やかです。だけど、あまりにも躍動し過ぎでつかまっているのに精一杯です。
そのうち一休みをして、後ろを振り返り、
「まだ追ってこないな———。よし、昼寝でもするか」
と居眠りをはじめます。
ウサギの背中にいたわたしは、
(やれやれ、ここで亀に抜かされるんだな…)
と物語の詳細を知っているわたしはウサギから離れます。
眠りこけているウサギの横でしばらく休んでいると、亀が通りかかります。
のろのろ、のろのろと。
亀が通り過ぎる直前、
———よし、いまだ!
わたしは今度は亀の背中に乗り込みます。亀は気づきません。
(ウサギの気分も亀の気分も味わえたわ…わたし)
そして、のろのろと亀はゴールテープを切りました。
一位は亀。
二位はウサギ。
亀には好物のイトミミズが献上されます。
わたしは棄権ということになり、これで勝負は終了しました。
———さすがにわたしは同着一位とはさせてもらえませんでした(あたりまえ)。
いやーでも、ウサギ側も亀側も体験させてもらって良い体験でした。
ウサギの油断大敵ぶり。
亀ののろのろさ加減。
目の前で見させてもらえるとは思いもよりませんでした。
またこういう勝負に参加してみたいです。
「ダメです。あなたはまたルール違反しそうですから」
審判のフクロウが睨んできました。
「ごめんなさい」
わたしは首を垂れます。
おしまい。
※みなさんもルール違反はダメですよ!