妄想ものコト

アラサー&メンヘラのコウコがおもったこと

【熱帯安楽椅子】山田詠美

[山田詠美]の熱帯安楽椅子 (集英社文庫)

 

 

山田詠美著の【熱帯安楽椅子】です。

 

山田先生の作品は何度か読んだことがあるのですが、どの作品も快楽に忠実に描かれている。

一つ一つの仕草、視線の動きが妙になまめかしい。

 

性行為は悪いこと、恥ずべきものだとは思わない。

それでいて快楽にのめりこみ過ぎない。 

肉体的な感度より、精神的な感度を好む。だが、肉体から生まれる快楽を精神的な快楽に結び付ける表現が上手い。

 

山田先生は日本人だろうが、セックスについてとても寛容だ。それは欧米などのオープンなものと似ている。

男性ひとりに一生尽くしていくというのは、日本人の美徳(?)であろうが、そんなのは関係ない。

男への愛し方はさまざま。男からの愛され方もさまざま。

このひとをどんなふうに愛せるか。どんなふうに愛されるのか。それを知りたくてたまらない。

 

 

山田先生の登場人物は個性豊か。とくに男性が。

ワヤンという情熱的な男。

波乗りが好きな耳の聞こえない少年、トニ。

 

三角関係というほどのものではないが、“私”はワヤンからの奔放なセックスを堪能し、トニからは熱い視線を向けられる。どちらか一人を選ぶわけではなく、ふたりとも愛する。それが“私”にとっての“快楽”につながる。